花形装飾活字を愛でる その80

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花形装飾活字と友禅の雛形図案の在り方には大きな隔たりと、
その利用と文化の違いからお互いが淘汰される事無く残り続けたのだと思います。
日本における花形装飾活字の利用は非常に限定的でした。
抜粋すべきは表彰状に見られるあの装飾。
結局はあれが、
日本における花形装飾活字の捉え方だったのでしょう。
つまり、
友禅の雛形図案との大きな隔たりの部分でもあったのです。
何が隔たりだったのでしょう。
大きな違いとは何なのでしょう。
答えは複数に別れます。
多くの要因が重なる事で、
その技法の類似性もまた違うものとして扱われる事になったのです。
日本は瓦版でした。
活字では無かったのです。
やがて瓦版は「描き文字」として変化をします。
それは活字が主流になったが故の犠牲でもあり、
生き残る為の変化でもあったのです。
それでも消える事はありませんでした。
現在の日本と海外とのタイポグラフィの違いにも実は根付いていますが、
これについてはテーマが変わるので置いといて、
瓦版は友禅の雛形図案とは違い、
少しのその利用と文化において活字寄りであったと言えます。
が、
その影で性質は友禅の雛形図案寄りであり、
それが今日までに残る結果になったのだと思います。
日本には「見栄え」という言葉があります。
伝統工芸等の書籍で良く出てくる言葉です。
これこそが、
その隔たりの部分を語るのに重要なキーとなります。
明らかに日本における花形装飾活字(表彰状等)の扱いは「見栄え」を重視し、
その整理性については瓦版の域を出ないものになっています。
それは活字を使用していてもという事です。
参考にして欲しいのは昔の新聞。
図書館等で見れる場合が多いので是非見て欲しいのですが、
それを見てもわかるように、
「活字」と「描き文字(瓦版)」の関係性が非常に如実に現れています。
「活字」における基本概念は大きく捉えて生産性と整理性ですが、
「描き文字」における基本概念はその「見栄え」であると言えるのです。
友禅の雛形図案もまた「見栄え」であると言える訳です。
ここに花形装飾活字との違いはあります。
「見栄え」を「イメージ」という言葉にすると分かりやすいかもしれません。
もちろん、
花形装飾活字においては単に文字としての活字と比べて、
そのイメージは圧倒的なものがありますが、
その目的における基本概念はあくまで生産性と整理性に重きを置いています。
友禅の雛形図案は図案を配する事でそのイメージを構築します。
つまり「見栄え」を良くします。
逆に、
花形装飾活字をどんなに配したとしても「イメージ」が構築される事はありません。
むしろ無造作感の塊になるだけです。
しばしば日本人の趣向として「見栄え」が重視され、
その装飾性が絶賛される場合がありますが、
とくに「イメージ」が構築されている訳ではない上に、
その扱いは花形装飾活字としての使命を欠く事にもなります。
やはり、
その美しさが発揮されるべきは、
その生産性と整理性が合理的に発生した時なのでしょう。
あくまでオブジェクトが主役であり、
それを踏まえると、
友禅の雛形図案はオブジェクトそのものの構築の生産性を、
美意識を損なう事なく最大限に高めたものであると言えるのだと思います。
花形装飾活字の場合は、
イメージの強みはオブジェクトの破壊にも繋がりかねません。
が、
その美意識もまた最大源に高められたものであると考えられるのです。
どんなもんで。
もう少し続きます。