花形装飾活字を愛でる その163

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やっと完成しました。花形装飾活字「fuji」。ボクにとっては水草の存在が今のところ最上にあるんだけど、この「fuji」の位置づけは、その廉価版と呼んでいいかもしんないです。でもだからと言って、手を抜いたとかでは決してなく、分かりやすくしたというのが正しい言い分のように感じます。あの水草は、あくまで花形装飾活字そのものを日本という視点でローカライズした結果、ああなったというもので、今回の「fuji」とは立ち位置も。その視点もまったくの違うものであると考えています。では、「fuji」はなんなのか。経緯を説明すると、水草の過程で生まれた異種にあたります。花形装飾活字というものを、日本というものにローカライズする際に、互いに近い要素のものを組み合わせる実験を幾度となく繰り返した結果、生まれたのがこの「fuji」なんです。つまり、視点として西洋的な花形装飾活字の古典的な形の側から、日本という古典を、いかにスムーズに取り込むかという事を念頭に置く事で、これが成立しました。日本のいわゆる友禅の雛形を、西洋的に見た時のレスポンスを、花形装飾活字的に作った訳です。そして、分かった事は、この方式と技術を使えば誰でも花形装飾活字は増産が可能だという事です(時間はかかるけどw)。どうしても装飾としての部分に目がいってしまいがちですが、やはりこれは合理的に準備されたシステムであり、装飾というルールを形式化した優秀な観察としての結果だと言えると思います。その上で「fuji」は、そのルールを実践し実行した初めてのケースの花形装飾活字だと言えます。見た目そのものは、友禅の雛形の「藤の花」近いものにしているんですが、やはりそのシステムが西洋的なものである為に、これはやはり従来の花形装飾活字なのだと思います。1つはっきりした事は花形装飾活字は文化や歴史の中で伝統的なものとして受け取られがちですが、それらはあくまで使用の限界での話しで、システムそのものに言及するなら、グラフィックデザインという分野において確実に使用されるべく対象であってしかるべきだという事です。そしてもう1つ。文字単体でその整理には限界があるし、読みやすさや判読性を文字そのものを対象としたアレンジに寄りすぎるのは、いささか急いだ判断のような気がします。やはり、ずっと書いてきてますが、ここは花形装飾活字を装飾として扱うのではなく、あくまで文字を整理する、「文字」そのものとして扱うのが妥当だと思います。ただ、花形装飾活字をそれ単体で使うというのもまた同じであると注釈を入れておかなくてはなりませんが…。読みやすさとは何か、綺麗な装飾とは何かを、もう一度よく考えてみてもいいと思います。この機会に是非。