花形装飾活字を愛でる その9

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これは実は凄く苦労した。
というかここらへんから複雑怪奇な設計になっていて、
例えばこれは、
2つのおたまじゃくしのような形があると思うんすけど、
その2つが微妙に形が違う。
大きい方がなんかへしゃがった形になっているのがわかる。
もしこれを正しくトレースするならキレイな円形でなくてはならない。
このような円形になったのは3つの要因が考えられる。
1つは版のサイズに合わせた。
これはもっとも有力な理由であると言える。
けれどならば少し曲線を曲げてしまえば収納出来そうなものなのだ。
つまり、この図案のポイントは大きい方のおたまじゃくしじゃなく、
1つ上の曲線からの自然な流れを優先したの事が確認出来る。
もう1つは意図的にである。
これも実は捨てがたい。
一度キレイな形のおたまじゃくしでトレースしてみたのだけど、
それで組んだ時にどうもしっくりこない。
へしゃげている場合と比べて装飾としての意味は大きくなるが、
どうも文字と並べた時に変に浮いてしまう感覚が、
紙面を支配しているように感じたのだ。
という事は、
意図的に版のサイズに抑制されるように彫った、または設計したという事は考えられないだろうかな。
抑制したへしゃげた形にする事で、
装飾的なイメージよりも文字との連携を優先したのだとすればそれは考慮に入れるべきだ。

これはピン型の留めるイメージに近い印象を受ける。
が、
使ってみると実はそうじゃない。
どちらかというと「杖」に近いイメージのように思う。
ピン型であるに関わらず留める能力よりも、
遮る能力に飛んだものを見る事が出来る。
また、道標のような役目もありそうな感じ。
鋭角な穂先でグサっといくというよりかは、
棒状のもので突いているような印象も見受けられる。
もう1つ、
すごく重要。
下の文章の部分を見てもらいたいのだけど、
この図案。
うまく文章に溶け込んで使う事が出来る。
これと組み合わせて今まで紹介してきたものを使うと、
これがきっかけで今までのものも文章の中に溶け込むのである。
これは穂先が鋭角ではなく棒状のイメージある事が大きく要因しているよう。
逆の部分も今までのピン型の物よりも装飾的で、
次へのイメージを繋げるというよりかは簡潔させるような印象。
つまり鋭角な今までの装飾を受け止めるには凄く都合の良い形をしているのがわかるのである。
また、上で書いたへしゃがったおたまじゃくしが意図的に版のサイズを優先した事が、
これが文章の中で使われる事が想定されている事に合点がいくように思う。